計器着陸装置(Instrument Landing System)

◆計器着陸装置(ILS)は、地上施設から航空機の滑走路中心線からのずれ量を示すローカライザと、降下角度のずれ量を示すグライドスロープの 2種類の指向性誘導電波を発射し、航空機を滑走路まで誘導する。 ローカライザは滑走路反対端の中心線上、グライドスロープは滑走路の接地点横に設置されている。

ローカライザは、滑走路反対端の中心線上から少し左右に角度をふった150Hzおよび90Hzで変調された電波を発射している。 これを航空機側で受信すると、進入方向に対して左側では90Hz,右側では150Hzの変調信号が強くなり、 この成分の強度を比較することにより、右または左にずれている量を知ることができる。
 



グライドパスは、接地点横から正常な進入角度(2.5~3°)から上下に角度をふった150Hzおよび90Hzで変調された電波を発射している。 これを航空機側で受信すると、下側に150ヘルツ、上側に90ヘルツの変調信号が強くなり、 この成分の強度を比較することにより、上または下にずれている量を知ることができる。
 


◆ILSは、ICAO(国際民間航空機関)で設備の運用精度により以下の5つのカテゴリーが設けられており、 空港(滑走路)ごとに運用カテゴリーが定められている。

※決心高度は、着陸(Landing)するか着陸復行(Go-Around)するかを決定する高度で CAT-I では気圧高度計による平均海面上からの高度で表される Decision Altitude(DA) を使用し、 CAT-II以上では電波高度計による Decision Height(DH) を用いる。 また、CAT-III以上で Decision Height(DH) が設定されていない場合は、 機材または地上設備の異常がないことを確認するための最低高さ 警戒高 = Alert Height(AH) が設定される。

カテゴリーⅠ
Decision Height(DH)200ft,滑走路視程(RVR) 2,600ft以上における着陸  

カテゴリーⅡ
Decision Height(DH)100ft,滑走路視程(RVR) 1,200ft以上における着陸  

カテゴリーⅢA
Decision Height(DH)100ft未満または設定なし,滑走路視程(RVR) 700ft以上における着陸  

カテゴリーⅢB
Decision Height(DH)50ft未満または設定なし,滑走路視程(RVR) 150t以上,700ft未満における着陸  

カテゴリーⅢC
Decision Height(DH)設定なし,視界ゼロにおける着陸  

また、パイロットにも資格があり Basic 1 / Basic 2 / CAT Ⅰ / CAT Ⅱ / CAT Ⅲ の5段階に分かれており、 経験により悪条件での最低気象条件が変わる。