ドリームリフター(Boeing-747-400LCF)について

Boeing-747-400LCFは、製造された Boeing-787 の部品を運ぶため中古の Boeing-747-400 を改造して造られた貨物輸送機です。 そして、Boeing-787(愛称:Dream Liner)の部品を運ぶことから、Dream Lifter (ドリームリフター)の愛称が付けられています。 また、型式の LCF は Large Cargo Freighter の略で、現在4機が製造され、アメリカの貨物航空会社 アトラス航空によって運航されています。


機体は、コクピットのみ与圧され、胴体部分が大きく拡張され747-400F貨物機の3倍の容積となっており全長も72mまで延長されている。 また、垂直尾翼も拡張され全高21.6mとなっている。(Boeing-747-400は、全長70.6m、全高19.4m)


日本では、おもに愛知県の三菱重工(大江工場)、川崎重工(名古屋第一工場)、富士重工(半田工場)で製造された Boeing-787の部品を ドリームリフターで輸送しており、中部国際空港(セントレア)でしか見ることができない。 そして、セントレアでは、ドリームリフターは404、405、406のスポットに駐機される。
また、部品は各工場から海上輸送されセントレアの港湾地区の港に陸揚げされる。
以下が各社が製造している部位。
 三菱重工業:主翼
 川崎重工業:前部胴体
 富士重工業:中央翼


セントレア沖をタグボートに曳航される部品を載せた台船


部品はセントレアの港湾地区の港で、台船から部品を積んだ搬送車が自走して降ろされる。


搬送車には多数の車輪があり、複数の車輪が連動して曲り、小回りできるようになっている。


搬送車には両側に運転席が設けられバックをしなくても運転できる。


港からは輸送路が整備されており、この道を通り搬送される。


輸送路を走行中の搬送車。この後、搬送車はステージングラックエリアに向かう。


搬送車からステージングラックエリア(搬送車より左の部分)に部品が降ろされる。


ステージングラックエリアを介してラージ・カーゴ・ローダー(LCL)に移される。

ラージ・カーゴ・ローダー(LCL)に移された部品は、直接ドリームリフターに搭載されるか、 ドリームリフター・オペレーションズ・センター(DOC) 運び込まれ一時保管される。


ドリームリフター・オペレーションズ・センター (DOC)。

DOCは、出来上がった部品を事前に搬入でき製造工場の省スペースと、天候不順で海上輸送ができない場合の対応できよう開設された。 そして、DOCにはステージング・ラックと呼ばれる架台を3基収容でき、ラック1基分をドリームリフター1機に搭載できる。
ステージング・ラック1基には以下の組み合わせで収納可能となっている。
 川崎重工製の前部胴体×1 + 富士重工製の中央翼×2
 川崎重工製の前部胴体×2 + 富士重工製の中央翼×1
 三菱重工製の主翼×1組

また、DOCにはラージ・カーゴ・ローダー(LCL)、およびモバイル・テール・サポート(MTS)も収納できる。
ラージ・カーゴ・ローダー(LCL):ドリームリフターに部品を積み込む作業車両
モバイル・テール・サポート(MTS):ドリームリフター胴体後部を支えながら開閉する作業車両


ドリームリフターは部品を搭載する際は、機体尾部の胴体を折り曲げ搭載される。 この時、前述のモバイル・テール・サポート(MTS)と呼ばれる作業車両で支えられながら胴体が曲げられる。


胴体を折り曲げられ、部品の積込み準備が可能となったドリームリフター。


部品の搭載は、ラージ・カーゴ・ローダー(LCL)が機体に真直ぐにつけられ、リフトアップして貨物室と同じ高さにして行われる。

部品の搭載が終わると、モバイル・テール・サポート(MTS)により胴体尾部が閉じられ搭載作業は終了となる。
そして、飛行準備が全て終了すると離陸する。